ジョー・ヒル、多田茂治


 1冊挫折、1冊読了。


 挫折44『20世紀の幽霊たちジョー・ヒル白石朗安野玲、玉木亨、大森望訳(小学館文庫、2008年)/今ひとつだった。これは、amazonのレビューで読む気になった作品。才能は感じられるが、文章がピンと来なかった。スティーヴン・キングの息子だったとはね。「解説」で東雅夫が「押しも押されぬ」と書いていた。ま、かような日本語を使う人物が絶賛する作品ということで。


 91冊目『内なるシベリア抑留体験 石原吉郎・鹿野武一・菅季治の戦後史多田茂治〈ただ・しげはる〉(社会思想社、1994年/文元社、2004年)/私が読んだのは社会思想社のものでタイトルは『内なるシベリヤ抑留体験』となっている。石原吉郎を知ったのは今年の大収穫だ。私は名前すら知らなかったのだ。石原の文章は脳を揺らす。常識を覆す。石原の感受性は新しい言葉を紡ぎ出す。石原は平凡な人物でありながら、非凡な表現力で言葉を綴る。彼はシベリア抑留で言葉を失った。石原が綴っているのは“取り戻された言葉”の数々である。