1冊読了。
『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ/518ページで4200円。十分お釣りが来るよ。1万円札をレジで出せばの話。もちろん冗談だ。声高らかに宣言しておくが、これは安い。私の読書経験から申し上げれば、各章が優れた一冊の書籍に匹敵するほどの代物だ。意識の本質が幻想であることを説いているのだが、その導入部としてマックスウェルの怪物から、情報エントロピー、アルゴリズム、複雑系、情報理論、コミュニケーション論、心理学までが引用されている。「意識」が取り上げられるのは第3部で261ページ目だよ。正直に告白しておこう。私は一度挫折しかかった。そして飛ばし読みをしたところ、再度中断したところから読み直さざるを得なくなった。そして一気に読み切った。これは凄いよ。「意識を通してつくられた世界観、宇宙観」を「世界と宇宙」から見つめ直しているのだ。我々の頭蓋骨の中でぽっかりと地球のように浮かんでいる脳。意識とはさしずめ、稲妻程度の存在に過ぎないことが、よく理解できる。デンマークのベストセラーになったとか、そんなことはどうでもいい。はっきり言っておこう。この本は「現代の経典」に位置すべき作品だ。それほど凄い。機根を調(ととの)えておくために、『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル・ブライソン、『「量子論」を楽しむ本 ミクロの世界から宇宙まで最先端物理学が図解でわかる!』佐藤勝彦、『数学的にありえない』アダム・ファウアー、『夢をかなえる洗脳力』苫米地英人、『生物と無生物のあいだ』福岡伸一を読んでおくべきだ。