・『9.11 アメリカに報復する資格はない!』ノーム・チョムスキー
・近代政府による組織的な宣伝活動
・アメリカ軍国主義が日本を豊かにした
・ウォルター・リップマンの策略
・観客民主主義
・民主主義の新しい革命的な技法=合意のでっちあげ
・「必要な幻想」による「過度の単純化」が政治学の主流
風が吹けば桶屋が儲かる。アメリカが戦争をすれば日本が豊かになる。諺(ことわざ)の方がはるかに奥が深い。まるで、三角関数と足し算くらいの違いがある。
巻末に収められた辺見庸のインタビューより――
チョムスキー●日本はこれまでもアメリカ軍国主義に全面的に協力してきました。戦後期の経済復興は、徹頭徹尾、アジア諸国に対する戦争に加担したことによっています。朝鮮戦争までは、日本の経済は回復しませんでした。朝鮮に対するアメリカの戦争で、日本は供給国になった。それが日本経済に大いに活を入れたのです。ヴェトナム戦争もまたしかり。アメリカ兵の遺体を収容する袋から武器まで、日本はありとあらゆるものを製造して提供してきた。そしてインドシナ半島の破壊行為に加担することで国を肥やしていったのです。
そして沖縄は相変わらず、米軍の一大軍事基地のままです。50年間、アメリカのアジア地域における戦争に、全面的に関わってきたのです。日本の経済発展の多くは、まず、その上に積み上げられたのです。
50年前に遡ってみましょう。サンフランシスコ講和条約が調印されました。50周年を祝ったばかりですね。
辺見●昨年(※2001年)9月ですね。サンフランシスコのオペラハウスで50周年記念式典が開かれ、日本からは田中真紀子外相(当時)が出席しました。これには、戦争責任を回避しているというアジアからの非難の声もありました。
チョムスキー●その条約にどこの国が参加して、どこがしなかったか、ご存じですか? アジアの国は軒並み出ませんでした。コリアは出なかった。中国も出なかった。インドも出なかった。フィリピンも出なかった。出席したのはフランスの植民地と、当時イギリスの植民地だったセイロンとパキスタンだけでした。植民地だけが出席した。なぜか? それは講和条約が、日本がアジアで犯した犯罪の責任をとるようにつくられていなかったからです。日本がすることになった賠償は、アジアに物品を送ること。日本にとっては万々歳です。資金は結局アメリカが賄ってくれるからです。
【『メディア・コントロール 正義なき民主主義と国際社会』ノーム・チョムスキー/鈴木主税〈すずき・ちから〉訳(集英社新書、2003年)】
戦後の日本が復興を遂げた最大の理由は朝鮮特需であった。そして、高度経済成長の原動力となったのはベトナム戦争であった。バブル経済においては湾岸戦争、で、いざなぎ景気はイラク戦争ってな具合だ。こうして振り返って見ると、アメリカは有色人国家としか戦争をしないことが理解できる。
戦争は短期間でありとあらゆるものを消費する。武器、弾薬、備品、医薬品、そして人の命まで。アメリカの軍事戦略は経済政策の一貫として練られている。つまり、金儲けのために人殺しをするという話になる。
全くもって酷い話ではあるが、その酷い話に乗っかって我々はこの世の春を謳歌している。朝鮮戦争が三種の神器に、ベトナム戦争がダッコちゃん人形とフラフープに、湾岸戦争がディスコの電飾に、イラク戦争が液晶テレビとレクサスに化けたのかも知れない。
あなたの財布にあるお金は、汚れてはいないか? 無辜(むこ)の民の飛散した血しぶきが付着していないか? 死の臭いを発してはいないか? 親を殺された少女の涙の痕(あと)はないか?
もう先進国という立場を捨ててもいいのではないか? 政治・経済の本質ってさ、意外と簡単で、「人殺しと貧困のどちらを選びますか?」って話に落ち着くわけよ。まともな人間なら、当然貧困を選ぶわな。ところがどっこい、世界は人殺しを選択する政治家が牛耳っているわけだ。もはや、真の平等は貧困の中にしか存在しない。本気でそう思う。さて、貧乏になる準備でもしておくか。私は無一物を目指す。
・生産性の追及が小さな犠牲を生む/『知的好奇心』波多野誼余夫、稲垣佳世子
・ノーム・チョムスキー
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・自由競争は帝国主義の論理/『アメリカの日本改造計画 マスコミが書けない「日米論」』関岡英之+イーストプレス特別取材班編
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