ジョージ・オーウェル


 1冊読了。


 111冊目『一九八四年ジョージ・オーウェル高橋和久訳(ハヤカワ epi 文庫、2009年)/絶版となっていたが、村上某の新作に釣られて新訳で復刊。訳が違うと、こんなにもスラスラ読めるものかと驚く。あまりの面白さに舌なめずりしなが読んだ。トマス・ピンチョンの解説を読むまで、オーウェルの遺作だとは知らなかった。ウィンストン・スミスが象徴しているのは、青年が大人へと変貌する様にも思える。社会に組み込まれた途端、通らぬ正義の数が増える。賃金のため犠牲にするものが多くなる。喧嘩をしたところで、かなわない相手だらけだ。その意味で本書は、我々の日常をデフォルメした作品ともいえよう。暴力と自由の意味を改めて考えさせられる。政治とは暴力の亜種なのかもしれない。ビッグ・ブラザーは権力者か、はたまた神か。