古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

スティーヴン・ホーキング、宮崎市定


 2冊読了。


 46冊目『ホーキング、宇宙を語る ビッグバンからブラックホールまでスティーヴン・ホーキング/林一訳(早川書房、1989年)/難解かと思っていたが、実にわかりやすく面白い内容だった。世界最高峰の知性はさすがに説明能力が違う。こんなに茶目っ気のある人だとは知らなかった。「神」に関する記述は、そのいずれもが創造神に対する辛辣な批判となっている。


 47冊目『雍正帝(ようせいてい) 中国の独裁君主宮崎市定(中公文庫、1996年)/宮崎市定の文章は気骨を感じさせる。明治人であることがその理由か。雍正帝は1722年、清朝の第5代皇帝に即位。政治手法が進化する過程で独裁制を避けて通ることはできない。そして独裁君主といっても人によって様々なのだ。雍正帝は独裁体制を堅固なものとしつつ、自らも勤勉に働いた。一日の睡眠時間は4時間であったという。悪しき官僚体制を正し、信賞必罰を明らかにした。この時代に搾取とは無縁な政治指導者がいたという事実に驚かされた。