S・J・ローザン


 1冊読了。


 29冊目『ピアノ・ソナタ』S・J・ローザン/直良和美〈なおら・かずみ〉訳(創元推理文庫、1998年)/シェイマス賞なんてのがあったんだね。さほど期待はしていなかった。表紙がどことなく『A型の女』(マイクル・Z・リューイン)を思わせた。物語は淡々と進む。舞台がアメリカだとは思えないほど静かに。私はイギリスのように思えてならなかった。主人公のビルがどうしてもヤンキーに見えない。謎解きはあるのだが、プロットを支えているのは魅力的な登場人物だ。キャラクター作りは似ていないものの、筋運びが藤原伊織を彷彿とさせる。アイダの人物造形が秀逸。ピアノ演奏の描写も素晴らしい。中高年向けミステリと言っておこう。