2冊挫折、2冊読了。1週間以上前のこと。
挫折58『西洋は仏教をどうとらえるか 比較思想の視座』峰島旭雄〈みねしま・ひでお〉(東京書籍、1987年)/全く歯が立たず。20ページほど読んで、後はパラパラとめくってみただけ。比較思想は結構なんだが、「比較の基準」が曖昧すぎるように感じた。テーマがいいだけに惜しまれる。
挫折59『でたらめな病人×つかえない医者 明るい患者になるための11の処方箋』和田靜香(剛★出版、2001年/文春文庫『ワガママな病人VSつかえない医者』改題、2007年)/全編ゴシック体が馴染めず、放り出してしまった。和田さんとは一度会ったことがある。おばさんキャラが魅力的な人物。そこそこ健康そうに見えたんだがなあ(笑)。文庫本を入手して読んでみようかしら。
95冊目『なぜ、脳は神を創ったのか?』苫米地英人〈とまべち・ひでと〉(フォレスト2345新書、2010年)/これは当たりだった。私が読んできた苫米地作品の中では最高峰に位置する。映像で見る苫米地は、言葉づかいも知らない大増上慢野郎だが、本書では全く別の顔を見せている。21世紀前後から科学の進展に宗教が後(おく)れを取る状況が露呈した。ただ惜しむらくは、仏教の知識が付け焼刃であるために中途半端な宗教否定論に堕してしまっている。活字には現れていないが、一度でも苫米地の話を聞くと、「オレ」の連発が耳に障(さわ)る。これほど我執の強い人物が宗教の何たるかを理解しているとは到底思えない。知的アプローチが素晴らしいだけであって、中身は幼稚な人物だと思うよ。
96冊目『学びと英知の始まり』J・クリシュナムルティ/大野純一訳(春秋社、1991年)/これはよかった。イギリス、ブロックウッドのクリシュナムルティ・スクールでの討論が収められている。相手は生徒と教職員だ。クリシュナムルティの深い問いかけによって、眠っていた智慧が輝き出す。中には悪ふざけする生徒もいて、結構生々しい。教師と親に対する講話で締め括られている。脳味噌が激しく揺さぶられるのだが、それが実に心地いい。クリシュナムルティ本はこれで39冊目。