古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

小田嶋隆


 1冊読了。


仏の顔もサンドバッグ小田嶋隆/1993年発行、オダジマン6冊目の著書。荒削りだが、その分勢いがある。ぷっはっはっは、と何度か笑い声を上げてしまった。少し前から感じていたのだが、時折ハードボイルド的描写があって、昔の丸山健二に似たところがある。これは、小田嶋隆テクニカルライターであり、丸山健二が通信士上がりであるためと思われる。この二人が醸(かも)し出すユーモアには更なる共通点を見出すことが可能だ。それは、共に徹底した常識人であることだ。つまり、常識を踏まえていないと、笑うという知的作業に進めないのだ。オダジマンは世間を笑い飛ばし、挙げ句の果てには自分をも嘲笑する。その自由闊達さが魅力だ。