子供の詩


 眼に映らないものを大切にしたい。顔で笑って心で泣いている、そういう人の悲しみを汲(く)んで上げられる自分でありたい。一粒の種に、大樹と育つ可能性の全てが備わっている。だが、それは見えない。木枯らしに震える枝は丸裸に見える。しかし、内部では葉を育て、花を咲かせるための営みが確かに存在する。時来たりて満開の桜を見上げる時、人々の相貌も輝きを増す。果たしてこの時、根に思いを致す人がいるだろうか? 見えない所で、暗い場所で、はりめぐされた根は黙ってそれを支える。人の喜びをそんなふうに支えることができたら、なんて素敵な生き方だろう。

「風」 上園侑(ゆう)


 風も人間と同じだよ
 風は人間のように怒ったり
 泣いたりするんだよ
 なぜなら怒ると台風になり
 泣くと雨をはこんでくる
 でも風だって
 いつもこんなわけじゃない
 いつもは笑って青空にいるよ


   山口県下関市・熊野小5年(読売新聞 1999-11-02付)


 時には人を困らせる「風」も、こんなに強い味方がついてくれるのだから安心しきっているだろうな。「風」の心を知る君は、きっと、人の心もわかる大人になるだろう。