古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

目撃された人々 23


 人当たりのよい男だった。(ただの八方美人だよ)


 年の頃は還暦を過ぎていた。(とっくの昔に死んでいたが)


 病気の妻を大切にしていた。(コミュニケーションはとってないが)


 常に微笑んでいた。(ニヤけた野郎だ)


 何でも正直に語った。(脚色された過去に過ぎない)


 それなりに立派な家に住んでいた。(金もないクセに)


 いつも自信に満ちていた。(中味は空っぽだ)


 おお、唾棄すべき人物よ、似非紳士よ、腐臭を放つ人よ。


 私はアンタの何もかもが嫌いだ。心の底から嫌悪する。