1冊読了。
134冊目『霊と金 スピリチュアル・ビジネスの構造』櫻井義秀〈さくらい・よしひで〉(新潮選書、2009年)/わかりやすい宗教社会学入門。スピリチュアル系を含む宗教団体の荒稼ぎぶりを考察している。ここが大事。決して暴き立てて警鐘を乱打しているわけではない。「考えるのはあんたの仕事」ということ。具体例としてはヒーリング・サロンを展開した神世界、それと霊感商法の代名詞・統一教会。よくも悪くも新書的で、さほど宗教と縁のない人でもスラスラ読めると思う。統一教会の件(くだり)は結構勉強になった。終盤は著者の思いと相俟って文章がスピーディーになっている。私としては多少の異論もあるが、よくまとまっていると思う。欲をいえば、経済性と喜捨の相違にもっと踏み込んでもらいたかった。なぜなら、何らかの信仰に基づいて自己満足を得られたとすれば、それはそれで経済的な合理性があるからだ。資本主義社会の本質はねずみ講であるというのが私の持論なのだ。この手の本は被害に遭う前に読んでおくべし。