1冊読了。
98冊目『人は何のために「祈る」のか 生命の遺伝子はその声を聴いている』村上和雄、棚次正和〈たなつぐ・まさかず〉(祥伝社、2008年)/村上和雄は分子生物学者で、DNA解明の世界的権威。そんな人物が書いたスピリチュアル系、あるいはサンマーク系ともいうべき作品だ。「祈りは好ましい遺伝子のスイッチをオンにする」という主張が一貫して繰り返される。祈りの道徳本。ま、否定はしないけどさ。でも、そんな簡単なものなのかね? 村上個人にとってのサムシング・グレートが「天理教の親神様」であっても一向に構わないが、祈る対象を不問に付してただ闇雲に祈ればいいというものでもないだろう。結果的に文学作品となってしまっている感を否めない。宗教的感情を論じるのであれば、もっと科学的・歴史的な意図を盛り込むべきだ。