古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

アラスター・グレイ、マイケル・クローネン


 1冊挫折、1冊読了。


 挫折91『哀れなるものたちアラスター・グレイ高橋和久訳(早川書房、2008年)/『一九八四年』の訳が素晴らしかったので高橋和久訳出の別作品を読みたくなった。ところが、クリシュナムルティと取り組むことになってしまったので後回しにせざるを得ない。そのうち再読する予定。まだ数ページしか読んでいない。


 128冊目『キッチン日記 J.クリシュナムルティとの1001回のランチ』マイケル・クローネン/高橋重敏訳(コスモス・ライブラリー、1999年)/クリシュナムルティ5冊目。著者は、クリシュナムルティの著作と出会い、世界を股にかけて講話に馳せ参じ、遂にクリシュナムルティの料理人となった人物である。興味深いエピソードが多数紹介されており、またクリシュナムルティの周辺がよく窺える内容となっている。デヴィッド・ボームとの会話も登場。圧巻は何といっても逝去に至る件(くだり)だ。活動的だったクリシュナムルティが静謐の中でこの世を去る。死の十日前に記録されたメッセージは実に辛辣極まりないもので、誰一人として彼の話を理解できた者はいなかったことを力説した。全体的には「クリシュナムルティ小噺集」といった趣で、キリスト教共産主義を揶揄するジョークが多い。それにしても何と巨大な人物なのだろう。