古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

川田隆一、秋山駿、出口光


 3冊挫折。


 挫折71『怒りの川田さん 全盲だから見えた日本のリアル』川田隆一〈かわだ・りゅういち〉(オクムラ出版、2006年)/いい本だとは思う。全盲の障害者が恐れることなく文句をぶちまけている。ところが不完全燃焼となっているのだ。多分、川田は心底怒っているのだろう。だが、それを赤裸々に綴ることは控えたに違いない。怒りが胸の内に蓄えられたため言葉が失速しているのだ。こうした葛藤によって結果的に「文句」で終わってしまっている。読んでいて気が滅入る。些末ではあるが救い難い差別意識がこの国には蔓延している。「善意のファシズム」と言い換えてもよかろう。敢えて書くが「弱者に対する態度」にその人の本質が現れるのだろう。それでも本書は、半分だけでも読む価値はある。160ページほどで挫ける。


 挫折72『内部の人間の犯罪 秋山駿評論集秋山駿〈あきやま・しゅん〉(講談社文芸文庫、2007年)/ちょっと歯が立たない。小松川女子学生殺人事件のところでギブアップ。45ページで挫ける。これはいつか再読する予定。


 挫折73『人の心が手に取るように見えてくる出口光〈でぐち・ひかる〉(中経出版、2007年)/著者は出口王仁三郎のひ孫に当たる人物。哲学博士だそうだ。amazonで評価が高かったので読んでみたが、単なる人間分類法に思えた。誠実そうな人柄だが、文章にキレがない。30ページで挫ける。特に抜き書きしたくなるような箇所もなかった。