NHKの障害者差別

 今、NHKの番組制作の現場に、全盲の職員は一人もいません。ラジオ第2放送の「視覚障害者の皆さんへ」という番組ですら、関わっている視覚障害者は全て外部の人たちです。
 障害者の番組があるのだから障害者を採用すべきだ、などと言うつもりは毛頭ありません。けれど、公共放送を名乗るなら、少なくとも視覚障害者にも健常者と同様に受験のチャンスくらいは与えるべきです。それすらもできないのなら、「進まない障害者雇用」などという番組でNHKが他の会社を“生贄(いけにえ)”にすることは絶対に許されません。


 NHKの人事担当者には社会性というものがないと思うのです。仮にしばらくの間、視覚障害者を採用できそうもないとしても、「記入は、本人直筆に限ります」などと堂々と記した受験資料を作ってはいけないと思います。この受験資料を“雇用差別”として問題視するのは、僕一人ではないはずです。
「こんな書類を作ったら、どのような社会的批判がありうるか」
 それすら予測できない組織に、その程度の組織防衛もできない集団に、僕たちは何故に多額の財源を与えて番組を作ってもらわなければならないのでしょうか。


【『怒りの川田さん 全盲だから見えた日本のリアル』川田隆一〈かわだ・りゅういち〉(オクムラ書店、2006年)】


怒りの川田さん―全盲だから見えた日本のリアル