1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」に合わせて、日航財団が世界の子供達から「ハイク」を募集。その入選作を編んだのが本書。狙いは素晴らしいのだが、本の作りがイマイチ。財団という性質上、報告的な要素を盛り込んでいて、中途半端に子供達を利用している印象を受けた。こういうのはスパッと短い冊子にして、もっと多くの読者にアピールする方が効果的だと思われる。
小さな緑の生き物が育つ
ぼくのきたないロッカーの中の
ハムサンドの上
(アシュリー 7年13才 カナダ)
子供はボキャブラリーが少ないため、似たような句が多い中、異才を放つ作品。2行目で「落とす」ところが男の子らしい。真夏だったのかね。カビを「小さな緑の生き物」と捉えた視点が素晴らしい。腐敗の中で育つ生命の神秘。