古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

都合のいい新自由主義


 新自由主義ってえのあ、市場原理に任せて血みどろの競争をさせるものだと思っていたのだが、どうやら違っていたようだ。

米、金融危機対策で空売り規制拡大 全銘柄対象


 米政府が金融危機の拡大回避へ政策を総動員し始めた。米証券取引委員会(SEC)は17日、株式を所有しないまま売り注文を出す「空売り」規制をすべての上場銘柄に導入すると発表。米財務省は金融市場への流動性供給や民間金融機関への直接融資を増やしている米連邦準備理事会(FRB)を支援するため、米国債を臨時発行する制度を創設した。市場の動揺がなお続く中、マーケットに鎮静を促し、金融機関の資金繰りに万全を期すのが目的だ。
 SECの新しい空売り規制は18日から適用する。SECは米住宅金融公社2社の経営不安が浮上した今年7月、金融株の急落を受け、日米欧の19の大手金融機関の株式を対象に空売り規制を一時導入した。今回は対象をすべての上場銘柄に広げて再び適用する。
 コックスSEC委員長は「空売りの悪用は許さない。関連当局は今回の規制をふまえ、違法な相場操縦をやめさせるために戦う」とのコメントを発表した。
日本経済新聞 2008-09-18】


 マーケットというのは、売り方と買い方の合意によって形成される。結構勘違いしやすいのだが、どんなに相場が上がろうと下がろうと、売った人と買った人の人数は一緒。「空売り」とは、株式の信用口座を持っている人が、株を借りて売る方法。上がると予想すれば「買い」から入り、下がると睨めば「売り」から参入する。


 SECが行う空売り規制は、空買いを奨励しているようにも思える。でも、どうなんだろうねえ。ダウが2日間で1000ドル近くも下げた後で、「買え」って言われてもねえ……。


 先日、米国4位の投資銀行(証券会社)リーマン・ブラザーズが破綻した。その直前には、格上のメリルリンチバンク・オブ・アメリカに買収された(5兆3000億円)。そして昨日、FRB米連邦準備制度理事会)が、保険最大手AIGに対して9兆円の融資を決定した。


 ウーム、どこを探しても見つからない。どこへ行ってしまったんだろう市場原理主義は。冷戦構造が崩壊してからというもの、アメリカは鼻持ちならないシェリフ(保安官)ぶりを発揮し続けている。「この町では俺がルール」だと言わんばかりに。でさ、町=世界だから皆が困ってんのよ。新自由主義が示しているのは、米国支配者が謳歌する自由のようだ。