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為替相場の見方:積極的に円買う理由見当たらない、波乱要因は中国の金融引き締め策=新生銀行・政井氏

 新生銀行 キャピタルマーケッツ部部長・政井貴子氏――10年の為替市場で注目されるのはFRB米連邦準備制度理事会)の政策金利の引き上げをめぐる動向だ。2月、3月に発表される米雇用統計が市場予想よりも良い内容となれば、FRBによる早期利上げ期待が再び高まりドル買い・円売りが進むだろう。3月末までのドル・円のレンジは89−94円とみている。
 米国の景気は悪いながらも、日本に比べればまだ良いと考えられる。14日に発表された09年11月機械受注統計の非常に弱い数字などをみる限り、積極的に円を買う理由は見当たらない。ドルは対円で売られるよりも、景気回復が鮮明になっている豪州の豪ドルなどに対して売られやすいと考えている。
 円高要因を挙げるとすれば、年度末の3月にかけて国内企業によるリパトリ(資金の本国回帰)で円転需要が高まることだ。また、中国の金融引き締め策が波乱要因になる可能性がある。中国人民銀行は12日、預金準備率を0.5%引き上げると発表した。今後さらに預金準備率が引き上げられれば、資源価格や資源国通貨が調整し、リスク回避の動きから円が買われる可能性がある。
 もっとも、市場では菅直人財務相が就任会見で円安志向の姿勢をはっきり示したことが意識されている。海外投資家はドル・円が90円を下抜けると日本の当局が円高阻止のため何らかの措置を講じると警戒しているため、90円を下回る水準では円は買われにくいだろう。


モーニングスター 2010-01-15