2冊挫折、2冊読了。
挫折39『廃市』福永武彦(新潮社、1960年)/旧かな、旧漢字であったため断念。文庫本を入手する予定。
挫折40『野中広務 差別と権力』魚住昭(講談社、2004年/講談社文庫、2006年)/講談社ノンフィクション賞受賞作。自民、公明が連立政権を組むに至った顛末(てんまつ)の舞台裏が描かれていて面白かった。やはり政治は生臭い世界だ。読んだのは調べ物をするために必要な箇所のみ。
83冊目『聞いてないとは言わせない』ジェイムズ・リーズナー/田村義進〈たむら・よしのぶ〉訳(ハヤカワ文庫、2008年)/「贅肉をそぎおとしたハードな文体。人間の悪意を見据える冷徹な目。いくつもの裏切り。ほとばしる血。本書が21世紀のノワールの秀作として読みつがれていく作品になるのは、おそらく間違いのないところだろう」(訳者あとがき)――これは完全な間違いである。通販番組の謳い文句に等しい誇大宣伝であると断言しておこう。確かに一気読みできるが、プロットが粗すぎる上に人物造形の中途半端さが目立つ。主人公の青年と女農場主とが結ばれるのはまだしも、青年の狙いが明らかになると大いなる違和感を覚える。ミステリと呼べる代物ではなく、せいぜい「娯楽フィクション」といったレベルだ。シドニイ・シェルダンの亜流といった印象を受けた。
84冊目『しなやかに生きるために 若い女性への手紙』J・クリシュナムルティ/大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2005年)/あまりの薄さに驚いた。本文はたったの63ページしかない。これで840円は高すぎやしないか? 大野も随分と商魂が逞しい。この値段は明らかにクリシュナムルティの精神に反するものだ。1986年に出版されたププル・ジャヤカールの『クリシュナムルティ伝』(日本語未訳と思われる)の一章が元テキスト。わかりやすい内容なのだが、順番としては先に読むべきではない。文章が端的であるため、逆に思想の深さが捉えにくくなっている。クリシュナムルティ本はこれで36冊目の読了。