人間の身体をどう捉えるか

 人間の生きる身体をどのように捉えているかがリハビリテーション治療を決定する最も重要な出発点である。身体を解剖学的に捉えるのか、運動学的に捉えるのか、運動発達学的に捉えるのか、神経生理学的に捉えるのか、日常生活能力的に捉えるのか、社会行動学的に捉えるのか、あるいは認知神経科学的に捉えるのか、システム論的に捉えるのかによって、運動療法が異なってくる。どのようなまなざしを身体に向けるかによって運動療法の差異が表面化してくる。
 身体へのまなざしの差異が、ある時代に多数を占めた視線が、時には何十年にもわたってセラピストの思考の中核となって臨床を支配する。そして、時には不幸な対立を生み出す。


【『リハビリテーションルネサンス 心と脳と身体の回復 認知運動療法の挑戦』宮本省三〈みやもと・しょうぞう〉(春秋社、2006年)】


リハビリテーション・ルネサンス―心と脳と身体の回復、認知運動療法の挑戦