人間には長期のストレスに反応して退行する傾向がある

 長期間――たとえば1週間程度――苦痛や不快な状況に置かれたことのある人ならば、このときの私の経験したことが思いあたるはずである。不快な状況に長期間置かれている人間は、当然のことながら、ほぼ不可避的に退行を示すのである。心理的成長が逆行し、成熟性が放棄されるのである。急激に幼児化し、より未開の状態に逆もどりする。不快感というのはストレスである。ここで私が言わんとしているのは、人間という有機体組織は長期のストレスに反応して退行する傾向があるということである。


【『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』M・スコット・ペック/森英明訳(草思社、1996年)】


文庫 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学 (草思社文庫)