天才とは――/『ナポレオン言行録』オクターブ・オブリ編


 言行録の極めつけといえば本書。言葉の端々に純然たる栄光と名誉がほとばしっている。満々たる自信なのか、はたまた単なる傲慢なのか。紙一重の相違ではあるが、ナポレオンの言葉には男の心を震撼させる響きがある。言動とは信じ難いほどの、「見事な文体」だ。

 天才とはおのが世紀を照らすために燃えるべく運命づけられた流星である。


【『ナポレオン言行録』オクターブ・オブリ編/大塚幸男訳(岩波文庫、1983年)】


 ナポレオンこそは、まさに「巨大な流星」であった。近代への扉を押し広げ、一敗地(いっぱいち)に塗(まみ)れた後、再び光を放ち、19世紀という時代の中で消えて行った。


ナポレオン言行録 (岩波文庫 青 435-1)