陽子

 とにかくちっぽけで、体積なんかあるかなし。あまりに小さすぎて、とうてい実感できないのが、陽子だ。
 陽子は原子を構成する微細な要素のひとつだ。そして、その原子からして実体がないに等しい意サイズときている。陽子がどれくらい小さいかというと、例えば印字「i」の「・」に当たる部分の微量なインクには、約500,000,000,000個の陽子が含まれている。50万年を分で勘定した数字を上回る個数、と言い換えてもいい。つまり陽子は、どう控えめに表現しても、きわめて微視的な存在だ。


【『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル・ブライソン/楡井浩一〈にれい・こういち〉訳(NHK出版、2006年)】

人類が知っていることすべての短い歴史(上) (新潮文庫) 人類が知っていることすべての短い歴史(下) (新潮文庫)