古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

シモーヌ・ヴェイユ


 1冊挫折。


 挫折50『重力と恩寵 シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄シモーヌ・ヴェイユ/田辺保訳(講談社、1974年/ちくま学芸文庫、1995年)/100ページを超えたあたりでやめる。肌が合わない。理由は何か? 彼女の信仰のせいではない。信仰であれば多少なりとも共感できるはずだ。読み始めて直ぐ違和感を覚えた。100ページ読んでギブアップした。純粋な彼女はきっとイエスと同じものを背負っていたのだろう。その覚悟が赤裸々に、そして静かに語られる時、ヴェイユの言葉は刃物と化すのだ。神を見つめる彼女は人間に背を向けた。そこに私は「行き過ぎたストイシズム」を感じてならなかった。神に支配された人々は、神の僕(しもべ)以外の人生を歩むことができない。ヴェイユの純粋さは幸せが近づくことを拒んだ。そんなふうに見えて仕方がない。