古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

石井紘基


 1冊読了。


 101冊目『日本が自滅する日 「官制経済体制」が国民のお金を食い尽くす!石井紘基〈いしい・こうき〉(PHP研究所、2002年)/もっと早く読んでおくべきだった。せめて、石井が殺される前に。本書が1月23日に発行され、同じ年の10月25日に自宅前で刺殺された。後に犯人の伊藤白水は「殺人を依頼された」と告白した。現職の国会議員で殺された人物はそれまで二人しかいなかった。裏表紙見返しに著者近影が配されているが、実にいい顔をしている。戦う男の風貌だ。出だしが随分読みにくいものの、政官業の癒着が見事に説明されている。そして、思い切った具体策も記されている。民主党がなぜこれを主張しないのか不思議だ。きっと石井は虎の尾を踏んでしまったのだろう。否、虎の尾をつかまえて国民の目の前に引きずり出そうとしたのだ。利権の根はかくも深い。石井は特別会計にメスを入れ、国会で初めて特殊法人公益法人の実態を追求した。日本の国家予算は、特別会計を含めると何とアメリカよりも多いという。にもかかわらず一向に景気がよくならないのは、予算が政官業のトライアングル内で還流しているからである。石井と比べれば沈黙している議員の何と多いことか。石井の無念を思わずにはいられない。