吉田洋一、ゲーテ、小林秀雄、関岡正弘


 1冊挫折、3冊読了。


 挫折29『零の発見 数学の生い立ち』吉田洋一(岩波新書、1939年)/札幌へ行く際、携えていった。文章が読みにくい上、展開が遅い。98ページで挫ける。50ページまでは面白かった。


 62冊目『ゲーテ格言集ゲーテ高橋健二編訳(新潮文庫、1952年)/5月10日に読了。これさえ読んでおけば、「ゲーテ曰く――」と書くことができる。素晴らしいのは、一々出典を明記しているところ。『ファウスト』を読んだふりができる。名言はたくさんあるのだが、どうもゲーテという人を私は好きになれない。「テクニックの人」という印象を受けた。胆力が感じられないのだ。「喧嘩のできる人物」には見えなかった。ま、一読の価値はあるんだけどね。


 63冊目『小林秀雄全作品 26 信ずることと知ること小林秀雄(新潮社、2004年)/千歳へ向かう飛行機の中で読了。これは面白かった。講演「信ずることと考えること」の抄録が収められている。テープ起こしではなく本人が書き直したもので、講演の前半部分のみ。講演の名調子を窺い知ることはできないものの、論旨は文章の方が明快である。特に、炭焼きをしている男が二人の子を殺す話は、文章でなければわかりにくい部分がある。小林秀雄は文章になると面白味に欠けるが、対談が実に素晴らしい。常人の言葉づかいと全く異なっている。講演CDはその内買う予定である。


 64冊目『「1929年大恐慌」の謎 経済学の大家たちは、なぜ解明できなかったのか』関岡正弘(PHP研究所、2009年/ダイヤモンド社大恐慌の経済学 カジノ社会が崩壊する日』1989年の改訂版)/本日読了。硬派な教科書本。ハードカバーで復刊したのはPHPの英断を称讃したい。本書が発刊されてから3ヶ月後に日経平均株価は3万8915円を記録し、その後相場は瓦解した。日経平均の30年間のチャートを見れば一目瞭然だが、今も尚下げ続けている。戻しては下げを繰り返しながら、底を打ってはいない。著者の先見性もさることながら、実学的要素が濃く、理論を弄(もてあそ)ぶところがない。経済学が富のストックを無視したために大恐慌を予測できなかった、という指摘が斬新。末永く読まれてしかるべき一冊だ。