古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

高島俊男、有馬哲夫、内田義彦


 3冊挫折。


本が好き、悪口言うのはもっと好き高島俊男/20ページあまりで挫けた。この人物は、山本七平渡部昇一と同じ臭いを発している。言葉の端々から、知識人に特有の鼻持ちならない傲慢さと差別主義を感じる。私が本を閉じたのは、モンゴルの件(くだり)が書かれた箇所だ。中国から訪れた少女をモンゴル人少年が「家へ遊びに来ませんか」と招待する。で、家へ入るや否や家族の目の前で強姦される。これがモンゴルの求婚文化だというのである。しかも用意周到に「中国の雑誌で読んだ記事」と前もって逃げを打っている。記事の検証もされていない上、あたかもモンゴル全体でこうしたことが行われているような印象を受けてしまう。もちろん、そうした効果を狙っているのだろう。実に薄汚い精神の持ち主である。本書の題名も、著者の精神性をよく表している。

日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」』有馬哲夫/人物紹介が多過ぎて、わけがわからなくなる。もっと情報を切り捨てて的を絞るべきだ。新聞記事よりも無味乾燥な文章になってしまっている。


社会認識の歩み』内田義彦/社会科学入門の古典に位置する作品。初版は1971年。話し言葉で書かれているのだが、どうもリズムが合わない。慎重な姿勢によって言葉が揺れている。そのため、考えなくてもいいようなところで考えさせられてしまい、曖昧模糊とした印象を受ける。明快さとわかりやすさが欠落しているように思う。いい本なんだけどね。私は堪(こら)え性のない老人だ。