古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

内部の人間

 閉ざされている人間、自分の手で自分の心を閉ざしている人間とは、内部の人間のことである。なぜ内部にいるのか。自分の心が外部から傷つけられるのに耐えられぬからだ。その第一歩は臆病者、あるいは卑怯者であり、これはもっとも低級な種類である。外部から傷つけられぬためのもっとも簡単な経済的な防衛は、自分が外部からすっかり拒否されていると思いこみ、閉め出された状態に身をおくことである。いちばん受身の最小の地点、いちばん弱い地点、それがもっとも巧妙な隠れ場所なのである。


【『内部の人間の犯罪 秋山駿評論集』秋山駿〈あきやま・しゅん〉(講談社文芸文庫、2007年)】