古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

死者の存在性格

 死者の“顔”は誰かの“顔”である。しかし死者の存在性格は“顔”をもち得ず、誰でもあり得ない。死者の存在性格と私がいう場合の死者は、前景に立つ“顔”の主ではなく、その背景として無限に広がっている匿名の死者たちである。


【『死と狂気 死者の発見』渡辺哲夫(筑摩書房、1991年/ちくま学芸文庫、2002年)】