統合失調症患者の内部世界

「自分というものが壊れて、きりがない。いろんな物体で自分が消えないようにしてるけど、すぐ崩れちゃう。何でもいいんです。物体を見て、物に行って、自分が無くならないように試すんですけど、すぐ崩れちゃう。自分が居なくなって、自分が何者かわからない。精神っていうか体っていうか、何か大切なものが欠けている。自分自身をつなぎ止めるものが短いようで……時間ですね……ポツポツとちぎれて。
 体がひとつひとつ壊れてゆく。固めるもの、時間がないから体が変に動いて……。現れですね。生が現れるだけですね。まる見えで素裸みたい。精神がもろいから全身の骨がもろくなって。
 物に行く、いろんな物みつけて、ここだなと思って、ちょっとの間は大丈夫なんですけどね。(ここって?)外全部ですねえ、長続きしなくて崩れちゃう。それの繰り返しで。
 世の中の芯にとらわれている。……自分が中心みたいで……」〔引用中の( )内は私の問いかけ〕(※朝雄)


【『死と狂気 死者の発見』渡辺哲夫(筑摩書房、1991年/ちくま学芸文庫、2002年)】


死と狂気 死者の発見 死と狂気 (ちくま学芸文庫)
(※左が単行本、右が文庫本)