- 我々自身が人生を短くしている
- 諸君は永久に生きられるかのように生きている
- 賢者は恐れず
- 他人に奪われた時間
- 皆が他人のために利用され合っている
- 長く生きたのではなく、長く翻弄されたのである
- 多忙の人は惨めである
- 人類は進歩することがない
賢者は恐る恐る歩くことも、用心深く歩くことも必要としない。なぜなら、賢者の自己に対する信頼は大きいので、運命に逆らって進むことを躊躇(ちゅうちょ)することもないし、いついかなる場合にも運命に屈服することはないからである。賢者はまた、運命を恐れる理由ももっていない。なぜというに、賢者は自分の奴隷や財産や地位のみならず、自分の体や眼や手や、およそ人間に生活を愛着させるものはなんでも、いや、自分自身をも、すべては許されて仮に与えられたもののうちに数えているからであり、自分は自分に貸し与えられたものであり、返してくれと求められれば、嘆き悲しむことなくお返しする、というように生活しているからである。
(※左が茂手木元蔵訳、右が大西英文訳)