・『巷の神々』(『石原愼太郎の思想と行為 5 新宗教の黎明』)石原慎太郎
・『対話 人間の原点』小谷喜美、石原慎太郎
・恵まれた地位につく者すべてに定数がある
・大衆運動という接点
・『仮面を剥ぐ 文闘への招待』竹中労
・『黒い手帖 創価学会「日本占領計画」の全記録』矢野絢也
・『「黒い手帖」裁判全記録』矢野絢也
・『乱脈経理 創価学会 VS. 国税庁の暗闘ドキュメント』矢野絢也
発行は1963年。私の生まれた年だ。ということは、公明党が結成(=衆議院への進出)される前年であり、マルクス主義が猛威を振るっていた時代である。本書の内容は「マルキシズムから見た創価学会の思想」というべきもので、共産党と比較する場面が目立っている。
個人的には、マルクス主義の懐の深さを感じた。否、マルクス主義というよりも、むしろプラグマティズムに近い印象すら受けた。彼等のアプローチはいずれも思想的であり科学的だ。
国会議員に定数があるように、社長にも課長にも定数がある。テレビ俳優にも定数がある。現代では、恵まれた地位につく者すべてに定数がある。(森秀人)
ここに資本主義経済・大衆消費社会の本質がある。全員が豊かになることは絶対にあり得ないのだ。環境問題が叫ばれて久しいが、その目的は先進国のパイ(エネルギー、食料、原材料)を守ることだという指摘もある。
かような観点からすれば共産主義は一つの理想だったのだろう。しかし、それも幻想に過ぎなかった。
資本主義の原理が、資本の奪い合いである以上、貧富の差が生れるのは必然である。弱い者、貧しい者から収奪することが成功への鍵となる。ソ連が崩壊してからは、これがグローバルな規模で進行している。「ノー」と拒否することは国家レベルでも困難だろう。金融マーケットが崩壊しつつある今、資本主義を見つめ直す視点が求められているように思う。
・生産性の追及が小さな犠牲を生む/『知的好奇心』波多野誼余夫、稲垣佳世子