古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

2008-12-25から1日間の記事一覧

生産性の追及が小さな犠牲を生む/『知的好奇心』波多野誼余夫、稲垣佳世子

・波多野誼余夫、稲垣佳世子 資本主義という運動会では、皆が皆走り回っている。いや違うな。ともすると、競争原理という言葉が合理を象徴しているように見えるが、実際はもっと残酷だ。足の遅い者が落伍する仕組みなのだから。つまり、資本主義は鬼ごっこな…

野球人・王貞治の悟りと怒り/『回想』王貞治

福岡ソフトバンクホークスの王貞治監督が今シーズンで引退した。WBCの第1回大会で日本チームを優勝に導いたドラマは今尚記憶に新しい。癌ですら、野球に懸ける情熱を阻むことはできなかった。グラウンドに再び立った時の痩せこけた頬は、まぎれもなく修行者…

安斎育郎、山本周五郎

2冊読了。 『霊はあるか 科学の視点から』安斎育郎/科学の視点から霊を読み解く。ややくどい記述はあるものの、そこそこ面白かった。ただ、結論としては養老孟司に軍配が上がる。 『日日平安』山本周五郎/10年ぶりに周五郎を読んだ。涙が噴き出たのは土田…