「パチスロ」は新しい利権だった/『警官汚職』読売新聞大阪社会部


 黒田清率いる読売新聞大阪社会部は次々とユニークな連載記事を発信した。ジャーナリズムにも五分の魂があることを示した。東京の権力が及ばない地の利があったことは確かだろうが、やはり関西の反骨魂みたいなものを感じる。


 本書は、警官の汚職を追及した骨太の作品。

「それ(パチスロ)を警察が許可したんですね」
「府県によっては賭博性が高いから許可しないと頑張ってところがあるけど、この協会には警察幹部がずらりと天下ってるんだから、そういつまでも頑張れないよ」
「パチンコ屋が、どうしてそんな新しい機種を必要としたんですか。パチンコ屋はフィーバーという機械がブームになり、かなりもうかっているという話ですが……」
パチスロの特徴は、パチンコとは機種が違うということだよ。機種が違うということは新たな業界をつくっていけるということだよ」
「どういう意味ですか」
「新たな業界や協会ができれば、新しい利権が生まれるじゃないの。パチンコ業界のように既成の利権はすでに特定の政治家にがっちりと押さえられていて、警察官僚が政治家になったとしても入り込む余地はない。そのためには新しい利権をつくらねばならない」


【『警官汚職』読売新聞大阪社会部(角川書店1984年)】


 警察は暴力団と接する機会が多い。何度も顔を合わせれば、そこには当然情も生まれる。で、何らかの付き合いが始まり、情報が交換され、挙げ句の果てには定年後の勤め先まで確保してもらうことになる。警察官の仕事はあまり潰しが利かないのだ。


 以下を参照されよ。胡散臭い業界団体が結構あることが理解できる。

 私の世代だと、小学生時代に「太陽にほえろ!」を見て育っているため、「警察=正義の味方」という価値観が刷り込まれている。無意識のうちに“市民を守る存在”と思い込んでいるのだ。実際は違う。警察は、国家の暴力装置の片割れ(もう半分は自衛隊ね)であり、政治権力の僕(しもべ)である。警察の組織機構そのものが上役には逆らえない仕組みになっている。ま、犬だな。


 警察とやくざ者の癒着ぶりは色々と明らかになっている。例えば、暴力団事務所で拳銃が押収されたという事件が報じられる。かようなケースの場合、「あのさー、今度手入れをさせてもらうから宜しく。で、拳銃を押収したことにするから、適当な容疑者を2〜3人用意しておいてよ。エ、拳銃? いいよ、こっちから持って行くから」と電話連絡をしていたりする。蛇の道は蛇。


 教訓――あらゆる組織は、構成員を隷属させる。


警官汚職