情報への飢え

 われわれは、食べ物が与えられないと、食物への飢えが生ずる。そして食べられる物でありさえすれば、なんでもよいから食べたいと思う。それとまったく同じことが、環境中の情報に対してもおこるのではないか。単調な環境は「情報への飢え」を生じさせる。感覚遮断実験の被験者たちは、まさに「情報に飢えて」しまったのだ。だからこそ、通常は見むきもしない情報にも接しようとするのだろう。くだらない情報でもないよりはましだ。幻覚だって、一種の「内的」な情報のあらわれと解釈できよう。人間においては、「情報への飢え」は、まさに食物へのそれに匹敵するといえそうだ。人間は退屈を嫌い、知的好奇心をみたすべく常に情報を求めている存在なのである。


【『知的好奇心』波多野誼余夫〈はたの・ぎよお〉、稲垣佳世子中公新書、1973年)】


知的好奇心 (中公新書 (318))