古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

文庫化『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』河邑厚徳、グループ現代(講談社+α文庫、2011年)



エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社プラスアルファ文庫)

現代のお金に関する常識を破る思想を紹介。事例や寓話を交えながら、「暴走するお金」の正体を探る


「パン屋でパンを買う購入代金としてのお金と、株式取引所で扱われる資本としてのお金は、まったく異なった種類のお金である」。こう語りかける本書は、NHKで放送されたドキュメンタリー「エンデの遺言 根源からお金を問う」を1冊の本にまとめたものだ。


 ドイツの作家であるエンデ(故人)は、「個人の価値観から世界像まで、経済活動と結びつかないものはない。問題の根源はお金にある」と提起する。エンデへの取材をもとに、彼の蔵書、貨幣社会の歴史を紹介しながら、現代の金融システムが引き起こす弊害に警鐘を鳴らすのが本書の目的だ。