古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

「同調」「服従」「内面化」

「同調」「服従」「内面化」は、人が集団に従うときの、不本意さの程度に応じた用語である。もっとも不本意なものが服従である。不本意だという感覚がある限り、服従服従以上にはなり得ず、「無責任の構造」も拡大はしない。他方、不本意ながら、従っているうちに、やがて、従っている不本意な行為の背景にある価値観を、自分の価値観として獲得してしまうことがある。それが内面化である。服従や同調から内面化が生じるプロセスが、少なくとも一握りの人たちの心に起こることによって、「無責任の構造」が維持されるのである。


【『無責任の構造 モラル・ハザードへの知的戦略』岡本浩一〈おかもと・こういち〉(PHP新書、2001年)】