病院の無力さ

 私たち、現場のシロウト集団の開き直りが始まった。病院では私たちシロウトには治せない病気を治し、命を救うことはできる。だが命を救っただけではそれは“生きもの”にすぎないのではないか。その“生きもの”が“人間”になること、つまり、目が輝いてきて自らの体の主体になることについては、病院という場はじつは無力ではないのか。いや、むしろそれを妨げているのではないか。私たちは命を救うことはできない。だが、ただ生きているだけの人や、生きていくのをやめようと思っているような人に、もう一度笑顔を取り戻させることならできるかもしれない。


【『老人介護 じいさん・ばあさんの愛しかた』三好春樹法研、1998年、『じいさん・ばあさんの愛しかた “介護の職人”があかす老いを輝かせる生活術』改題/新潮文庫、2007年)】


 医師が見ているのは症状と患部である。そして人間を見失うわけだ。


老人介護じいさん・ばあさんの愛しかた (新潮文庫 み 37-2)