老人が動かないよう手足を縛る安静看護。それが誤りだといって出現してきたリハビリテーションが、こんどは老人を無理矢理動かしている。やれやれ、と私はため息まじりに思う。安静看護にせよ、リハビリにせよ、老人は専門性を押しつけられる対象でしかないじゃないか、と。ちっとも、老人が主体として登場していないのだ。
【『老人介護 じいさん・ばあさんの愛しかた』三好春樹(法研、1998年、『じいさん・ばあさんの愛しかた “介護の職人”があかす老いを輝かせる生活術』改題/新潮文庫、2007年)】
(※左が単行本、右が文庫本)