小池が本格的に将棋の勉強をしたというのは高校入学の年からで、このときは猛勉強したというより、将棋に狂っていたと小池は私に語ったことがある。
「どんな分野でもそうだと思うのですがとりつかれたり、狂ったりするのは3年ぐらいがいいところじゃないですか。あとは惰性で勉強して充分だと思うんです」
といったこともあった。将棋の勉強のさまたげになると感じて学校の教科書は読まないことにした、というのだからたしかに将棋に狂った高校生であった。
【『真剣師 小池重明 “新宿の殺し屋”と呼ばれた将棋ギャンブラーの生涯』団鬼六〈だん・おにろく〉(イースト・プレス、1995年/幻冬舎アウトロー文庫、1997年)】