古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

赤ちゃんからの働きかけによって芽生える母性本能

(メスチンパンジーの)アイもクロエもパンも、出産しただけでは「母」にはなれなかったのである。赤ん坊の側から「しがみつく」「吸いつく」というはたらきかけと人間の介助があって、初めて「母性」が芽生えたのだ。
 松沢(哲郎)は、「子育ては種族繁栄の基本的な行為なのに、本能に組み込まれていない。それは、子育ては子どもの個性に対応してやる必要があるから、あらかじめ決められた一つの方法ではかえって不都合が生じるからかもしれない」と考えている。


【『子供の「脳」は肌にある』山口創〈やまぐち・はじめ〉(光文社新書、2004年)】


・『あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源』フランス・ドゥ・ヴァール