裁判は、はじめ公開で、途中から非公開になった。10月16日、カストロは、自分自身の弁護人として法廷に立った。約5時間、かれは熱弁をふるった。それは文字通りの熱弁であった。獄中にあって、いかなる本も読むことができなかったにもかかわらず、かれは古今東西の文献、キューバの統計を引用した。その博識ぶりは、驚嘆の一語につきるものであり、その弁舌の力強さは、27歳の青年のものとは信じられぬくらいだった。
かれは、バチスタの悪を告発し、キューバの解放を訴え、最後にこういった。
「わたしを断罪せよ。それは問題ではない。歴史はわたしに無罪を宣告するだろう!」