・超能力に対する態度
・柳田國男著『山の人生』について
・聴覚を失ったベートーヴェンに何が聴こえていたのか
・生演奏の音は「感受される質」
小林●それはべつの話になります。音楽は単に音の組合せではないからね。音楽の持っている意味を感ずるという事とは別です。つんぼ(ママ)になったベートーヴェンに何が聴こえていたか。これは怖ろしいような事だが、しかし、何も格別な病的現象とは言えないからね。彼が耳が聞こえてた頃から、音楽を精神で聴いていなかったら、つんぼになって音楽が彼の内部で鳴ったわけがないでしょう。(※五味康祐との対談)
【『小林秀雄全作品 26 信ずることと知ること』(新潮社、2004年)】