古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

聴覚を失ったベートーヴェンに何が聴こえていたのか

『小林秀雄全作品 25 人間の建設』小林秀雄

 ・超能力に対する態度
 ・柳田國男著『山の人生』について
 ・聴覚を失ったベートーヴェンに何が聴こえていたのか
 ・生演奏の音は「感受される質」

『学生との対話』小林秀雄:国民文化研究会・新潮社編

小林●それはべつの話になります。音楽は単に音の組合せではないからね。音楽の持っている意味を感ずるという事とは別です。つんぼ(ママ)になったベートーヴェンに何が聴こえていたか。これは怖ろしいような事だが、しかし、何も格別な病的現象とは言えないからね。彼が耳が聞こえてた頃から、音楽を精神で聴いていなかったら、つんぼになって音楽が彼の内部で鳴ったわけがないでしょう。(※五味康祐との対談)


【『小林秀雄全作品 26 信ずることと知ること』(新潮社、2004年)】