電通を批判できない日本のマスコミ、東京五輪招致の税金浪費問題でも

 石原慎太郎都知事が18日の記者会見で、2016年東京五輪招致の最終プレゼンテーションの10分間の映像製作費として、電通から5億円を請求されていることに関し、請求額の根拠を都議会で説明するよう電通側に求めたことを明らかにした。五輪招致での都から電通への委託契約費は約53憶円にのぼり、中には4000円のアルバイト費などが含まれていた。


 共産党の曽根はじめ都議の調査によると、都が06年度から08年度にかけ外部に発注したこの委託契約費30億1059万円のうち、86.5%が電通へのものだった。都は電通競争入札なしで特定の企業の指定を行う「特命随意契約」で行い、さらに、他企業に発注できるはずの都バス車体広告や招致機運を盛り上げるTOKYO体操の企画まで電通に委託していた。


 こうした都と電通の不可解な結びつきに対して、ライブドアの「五輪『10分5億円映像』電通の参考人招致は必要?」というネット世論調査では、「電通の接待がどれだけ豪勢だったか知りたい」「電通参考人招致と共に、石原も呼べよ。まずは招致失敗の責任を石原に取ってもらわないと、石原自身の公約違反だろ?」など都と電通に対する批判が相次いだ。


 電通と五輪の不透明な結びつきは『黒い輪 権力・金・クスリ オリンピックの内幕』という著書にも示されているように、こと有名だ。アディダス電通が共同出資して1982年に設立したマーケティング会社の「International Sports Culture & Leisure Marketing A.G.(ISL)」は国際オリンピック委員会(IOC)や国際サッカー連盟(FIFA)などに深く食い込み、五輪やサッカーW杯関連のマーケティング業務をほぼ一手に引き受けた。だが、そのISLは常にIOC委員などのスポーツ貴族への贈賄疑惑などを引き起こし、2001年に経営破綻した。


 こうした電通と五輪の不透明な結びつきについて、日本のマスコミ、特に共同通信時事通信、そして地方紙は取り上げることは滅多にない。なぜなら、共同と時事はもともと電通と同一の会社、戦前の国策通信社「同盟通信」だったし、地方紙は電通の広告営業力に頼りっぱなしという金銭面での利害関係があるためだ。汐留にある共同通信本社ビルや銀座にある時事通信本社ビルは電通が株式公開の際に両社が電通株を市場に放出して得た利益で建てたことはマスコミ界では有名な話だ。また、朝日、読売、毎日とて電通との結びつきは強いし、さらに民放テレビ局に至っては広告・営業面で電通に頼りっきりの体質がある。


 ジャーナリズムを実践しているとされる新聞社やテレビ局は電通にのど元を押さえられているのが現実で、歯向かうことすらできない状況なのだ。さらに状況を悪化させているのが、いわゆる「スポーツばか」や「おふざけ女子アナ」の新聞社・テレビ局の運動記者の存在だろう。カネに関する取材はスポーツ選手の契約金交渉くらいなもので、五輪など大規模スポーツイベントの経済的な運営面に目を向けるものはほとんどいない。その象徴が、運動部上がりの共同通信・石川聡社長だろう。日本のジャーナリズムは電通を批判する勇気もないし、その能力もないのだ。


 ならば、都民国民の税金をむさぼる電通の不透明な取引について、政治家や市民が監視する以外方法はない。まずは都に対して五輪招致活動の内情について詳細な調査を徹底させ、必要とあらば政治主導で電通関連の「事業仕分け」を行うのが、税金無駄遣いの防止になるのではないか。


PJニュース 2009-12-22