スペイン人はコカの葉を与えてインディアンを労働に駆り立てた/『チェ・ゲバラ伝』三好徹


 侵略する側は、侵略される側を“人間”とは見なさない。そうでなければ、侵略などできるはずがないのだ。帝国主義植民地主義は“暴力という名の鎧(よろい)”を身にまとっている。


 中南米の大半はスペインの植民地だった。なぜなら、コロンブスがスペイン野郎であったためだ。現在でも多くの国の公用語スペイン語となっている。

 ラパス(※ボリビア)の市街は、高度3800メートルの高地にあり、周囲を不毛の山肌に囲まれている。貧しいインディオたちはその山肌に泥土をぬりかためた小屋をつくり、同じような色の皮膚をもっている。それは長い年月の間コカの葉を煎(せん)じて飲んできたためだった。コカはいうまでもなく、コカインの原料である。16世紀にこの地を征服したスペインの侵略者たちは、このコカの葉をインディオにあたえて、銀山や銅山の労働にかりたてた。コカの葉を煎じて飲めば、飢えも疲れも忘れ、夢幻の境にさ迷うことが可能なのであった。


【『チェ・ゲバラ伝』三好徹(文藝春秋、1971年)】


 ヨーロッパの連中はこういうことを平然とできるのだ。多分、有色人種のことを虫けら程度にしか思っていないのだろう。歴史は単なる過去の出来事ではない。必ず世代を通して受け継がれてゆく。よきにつけ悪しきにつけ、それが“文化”というものだ。


 この世界をキリスト教と白人と欧米が牛耳っている限り、明るい未来はないと私は考える。単純に書いてしまうと頑迷に見えるだろうが、決してそんなレベルで言っているわけではない。歴史と現実を知れば知るほど、欧米人の差別意識が浮かび上がってくるのだ。


 我々は「先進国ボケ」してはならない。強くそう思う。


チェ・ゲバラ伝