古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

イエスは“感謝の人”だった/『キリスト教思想への招待』田川建三

 田川建三の威勢のよさは好きなんだが、論理の飛躍があるため、どうしても説教臭い印象を受けてしまう。また、同じ主張の繰り返しが目立ち、小うるせえ年寄りみたいだ。

 古代人が、心をふるわせて、一つ一つの収穫のたびに、この自然をたまわったことについて感謝していたことを、今、我々は思い出してみる必要があろう。彼らは、その自然を与えて下さった神様に感謝した。我々も、同様にその神に感謝しようではないか。神なんぞ存在しなくてもかまわないから。
 こういう感謝を最も素直に表現していたのは、イエスという男である。


【『キリスト教思想への招待』田川建三勁草書房、2004年)】


 クリスチャンでありながら、あっけらかんと「神なんぞ存在しなくてもかまわないから」という物言いに思わず笑い声を上げてしまった。ただ、どうなんだろうね? クリスチャンってえのあ、やたらめったら「神への感謝」を強いられているので、どうも他人に対する感謝の念が乏しいように感じる。神様の方ばっかりじゃなくて、周囲の人々をよく見るべきだろう。


 キリスト教に対する疑問は以下の通り――

  • 神はどこにいるのか? 存在するなら座標を特定せよ。
  • 天地創造は1回きりだったのか? なぜ、追加作品がないのか?
  • アダムとイヴがリンゴを食べてしまったのは、神の製造責任ではないのか?
  • 神をつくった存在は考えられないのか?
  • キリスト教の歴史は、戦争と人種差別に彩られているがどう考えるか?
  • 右の頬を殴っても構わないか?