古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

阿久悠「甲子園の詩」

http://www.aqqq.co.jp/


 阿久悠の公式サイト。個人的に最も好きなサイトの一つである。『逆耳の戯言』でも以前、紹介したが再び――


 全国の球児達が甲子園を目指して奮闘している。昨日は東東京の決勝戦が行われ、二松学舎大付属をくだして都立雪谷が代表を決めた。都立高校としては3校目の代表になるそうで、初の甲子園1回戦突破を目標に掲げていた。


 巡り来る夏の甲子園を、阿久悠は「スポーツニッポン」で謳い上げてきた。今から20年も前になろうか、ふと耳をそばだてるとラジオから、阿久悠の朗読する声が聴こえてきた。それは、前の日に見た高校球児の熱戦を心憎いまでに表現し尽くしていた。題して「甲子園の詩 一瞬の神の子らへ」――


甲子園の詩


 試合を見なくとも心震わせる言葉に酔い痴れることができる。だが、試合を見れば、尚一層、堪能できることは間違いない。私が初めてラジオで聴いた際の衝撃はいまだ忘れることができない。同じ野球を見ながら、私が全く見つめ得なかった視点から繰り出される言葉の数々。言葉を聞いた瞬間に、「そうだった。確かにそうだった」と思わせる強烈な説得力。そして何にも増して、球児達に寄り添い、励まし、讃える心の広がり。


 今年もまた“熱い夏”が始まる。奇っ怪な少年事件に目を奪われ、危機感ばかりを募らせる大人が占める中にあって阿久悠の言葉は、一生懸命来る日も来る日も練習に明け暮れた高校生達への信頼から発せられた、心強いメッセージである。