イギリスからアメリカへの覇権の交代

 この所有と経営の分離という変化は、イギリスからアメリカへの覇権の交代という、世界の政治経済の大転換をも引き起こした。
 第一次産業革命をいち早く成し遂げたイギリスは、19世紀を通じて、その覇権的地位を維持してきた。しかし、私有財産制度の伝統が長いイギリスでは、所有と経営を明確に分離することが社会的に難しかったため、産業組織の規模を重工業に十分なほど拡大することができず、第二次産業革命に乗り遅れてしまった。


【『恐慌の黙示録 資本主義は生き残ることができるのか』中野剛志〈なかの・たけし〉(東洋経済新報社、2009年)】


恐慌の黙示録―資本主義は生き残ることができるのか