カレル・チャペック


 1冊読了。


 7冊目『絶対製造工場カレル・チャペック/飯島周〈いいじま・いたる〉訳(平凡社ライブラリー、2010年)/面白かったんだが、終盤でフリーメーソンが登場してからわかりにくくなっている。前半が秀逸なだけに失速感が強い。ま、それでも一読の価値は十分ある。バルザック著『「絶対」の探求』へのオマージュである。カルブラートルという機械が発明され、わずかな石炭で無限のエネルギーを供給することが可能となった。そして原子の力を解放するこの機械は「絶対=神」をも放出するのであった。やがて放射能のように「絶対」が世界を汚染した。考えさせられるところが多い小説だ。ユートピアディストピア、宗教と全体主義、SFとパロディが渾然一体となっている。チャペック自身が「この作品全体を【相対主義の哲学】によって押し進める」と書いている。平凡社ライブラリーは少々値段が高いが、フォントも行間のバランスが見事で実に読みやすい。本作りへの愛情が伝わってくる。