古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

リー・チャイルド、曽根富美子


 2冊挫折、1冊読了。


 115冊目『前夜(下)』リー・チャイルド/小林宏明訳(講談社文庫、2009年)/昨日読了。一気読み。謎解きの度合いが増す。タイトルの意味が今ひとつピンと来ない。もちろん「前夜」に何があったかはわかっているのだが。ラストは意見の分かれるところだろう。私はもっといたぶった上で何か新しい情報が出てくれば面白かったと考えている。アメリカ本国では既にジャック・リーチャー・シリーズが10作以上出ているそうだよ。ハードボイルド好きにはオススメ。


 挫折69、70『親なるもの 断崖曽根富美子〈そね・ふみこ〉(主婦と生活社、1991年/宙〈おおぞら〉出版、2007年)/今月前半の課題図書。選者でありながら私は読み終えることができなかった。白状しよう。松恵が首を吊ったところまでしか読めなかった。第1部の45ページ。昭和2年青森県から北海道の遊郭に売り飛ばされた少女達の物語だ。圧倒的なリアリティが福本伸行を軽々と凌駕している。曽根富美子はこの作品で日本漫画家協会賞の優秀賞を受賞しているが、吉川英治文学賞山本周五郎賞の方が相応しいと思う。表現手法が漫画というだけであって、完全な文学作品といってよい。私は本書を手元に置きながらも、一生読むことはないだろう。それほど怖い。



親なるもの断崖 第1部 (1) (宙コミック文庫) 親なるもの断崖 第2部 (2) (宙コミック文庫)